「死に方教えたろうか」教え子を恫喝した史上最悪の殺人教師」
平成15年10月そんなタイトルが週刊文春誌上に踊った。
それからというもの全国ネットの各ワイドショーが取り上げると報道は加熱し、ついには裁判沙汰へと発展。教師と父兄が正面対立することになる。
しかし、フタを開けてみるとその殺人教師はただの平凡な公立小学校の教師にすぎず。なにがどう間違ったのか……?
ミステリーのような実際に起きた事件の話です。
2週間ほどまえ、書店に平積みに積んであって、
池井戸潤氏の「息もつかせぬ展開にページをめくる手がとまらない……」という帯にも惹かれて購入してみたのです。
まさに推理小説でも読むがごとくに引き込まれ、あっという間に読破してしまいました。
思ったのは
えん罪事件というのが「このようにして」起きるのか、ということ。
医師が書いた鑑定書は一人歩きするし、校長や教頭、父兄に囲まれればどんな教師でもなんらかの威圧を感じてしまい、ありえない方向に行ってしまう。
論点は
・今の学校環境では教師は父兄の意見に簡単に逆らえないこと。
・マスコミが刹那主義で取り上げるため、本質が分からなくなってしまうこと。
・証拠書類としての医師の鑑定書には問題があること
このようなものが浮かんできます。
詳細は本書を読んでいただきたいのですが、
ボタンのかけ違い、認識のちがい。それが複雑に絡まり合い、マスコミがそれを検証せずに報道したため教師は暴力教師に変わってしまった。
あと、取材ができなかったのでしょうが、教師側に取材が偏りすぎていて、父兄側の情報が少なかったのが残念だし、父兄がどのような経過を経てこのようなモンスターペアレンツになってしまったのか、その過程を是非、知りたかった。
最後までモンスター扱いだったのはちょっと残念。
まあ、堅いことは言わずにエンタメとして読んでも面白い本です。
(当事者の方ごめんなさい)
新潮社
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