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映画の冒頭、あるライブハウス。
失恋して落ち込んでいる若手歌手に友人がステージで歌ってくれという、
でも彼女は落ち込んでいるために躊躇する。歌いたくないのはみえみえだ。
懇願する友人。ようやく、重い腰を上げて歌いだす。フォークギターを手にし、ポツリポツリ歌い始める。バラード風の渋い歌。
物語はこのシーンに居合わせ、歌を聞いて感激した落ちめの音楽プロデューサーが彼女に声をかけることによってスタートする。
面白いのは、
音楽プロデューサー、若手歌手、それぞれが家族と会社、あるいは恋人とさまざまな確執を繰り返して、どうやってこのライブハウスにたどり着き、冒頭のシーンにつながっていったのかを描いていることだ。
それがどこか新鮮でワクワクする。非常に面白い映画手法だ。
「はじまりの音楽」というタイトルも僕は非常にナイスなネーミングだと思う。
”はじまりのうた(つまり冒頭のライブハウスのシーン)”がきっかけになって様々な人間関係やビジネスが進展し結実していく。そういったストーリーにぴったりだ。
原題はBeginAgain 「また始めよう」。
こちらは非常にオーソドックスで凡庸なタイトル。原題よりも日本語題のほうが洒落ている。
そして、音楽会社に売り込むデモテープを作るのに金のない彼らは音楽機材を駆使して「ニューヨークの街角」で録音する手法を思いつく。
様々な人が、落ち目のプロデューサーに協力しようとする、そんな中で家族とのキズナも修復していく、家族と恋の物語である。
いろんな人が一つのアルバムを創ることに協力するさまが非常に清々しく、これがまた逆にひねくれた僕にはご都合主義にも感じるし、うまく行き過ぎる点はちょっとマイナス。
もっと葛藤があってよかった。
だから7点。
でも、見るとなんとなく楽しい映画です。
「はじまりのうた」公式サイト
http://hajimarinouta.com/