非常に強烈な映画です。
ほとんど二人だけしか画面にはでてきません。というか、あまりの迫力のために周囲の人間の存在が消し飛んでしまうようなそんな不思議な映画です。
主人公は二人。
全米イチの音楽学校に通うドラマー。ニーマン。
それとその学校の教授。フレッチャー。
教授のフレッチャーは授業のなかで生徒を徹底的に追い詰めていく。徹底的に。
生徒のプライドを傷つけ、自信を喪失させ、どう返答していいのか分からない極限状態に生徒を追い込み、そこに、さらに彼のツッコミが入る。生徒は完全に屈服し、慟哭し、恐怖に打ちひしがれ去っていく。
教室の場は完全に恐怖の場。
皆、萎縮して言葉もでない。教授の小さな挙動に注目している。
そんな中、やがてニーマンも彼の餌食になる。
そんなストーリー。
まあ、あちこちのブログで紹介されているので、あらすじはさておいて、
注目に値するのは、
クライマックス直前のシーン。
ニーマンとフレッチャーが酒を飲みながらチャーリー・パーカーが成功した時の話をする下り。
フレッチャーは言う
十代のチャーリー・パーカーはサックスの名手だったが、ある日、ジャムセッションでヘマをしてしまった。
そしたらバンドマンのジョー・ジョーンズにシンバルを投げられた。
屈辱に耐えられず、その夜彼は泣きながら寝た。だが彼がエライのは翌朝には練習を再開し、没頭したことだ。「二度と笑われまい」と誓ったのだ。来る日も来る日も彼は練習に没頭した。
やがて、1年後にまた因縁のジャズ・クラブのステージに立つ時が来た。そこで驚くことに彼は史上最高のソロを聴かせることができたんだ。
もし、ジョーンズが「平気さ、チャーリー。大丈夫、上出来だ(Good Job)」と言っていたら?
”バード”は生まれなかっただろう。
危険な言葉はこの2語。「Good Job」という言葉なんだ。
なぜ、フレッチャーが生徒を極限まで追い詰めていたかが、このシーンにより明快に説明されています。そして、この言葉に物語の真髄がつめ込まれていると思います。
自分を徹底的に追い込み、極限状態で頑張れるもののみが栄冠を手に入れることができるのだ……。と。
いまでは時代遅れと言われそうですが、ど根性の営業部隊をその昔経験したことのある僕は深く同感しました。
いいんじゃないでしょうか。
素晴らしい映画です。おすすめです。
ただし、人によって評価は大きく違うと思われるので、1点減点しました。
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