【書評】「USJを劇的に変えた たった一つの考え方」 森岡毅著

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NHKプロフェッショナルでも放送された、大阪USJのマーケティング本部長の森岡氏が書かれた本。

テレビ放送のサブタイトルは「なにはの軍師すご腕マーケター」という熱いもの。
2年前の九月に放送されていたんですが。負けん気な顔と異様な熱意が伝わってくる
スゴい頭の切れる人だという印象が残っています。

それから比較すると、本書は非常に冷静に、トーンダウンして書かれている感じがします。
基本的な内容は、就職間際の学生向けに書かれたマーケター就職読本のような位置づけかな。

マーケティングの基礎から主にブランドマネージメントをどういう風にやるのか、その理論、考え方、戦略・戦術などが書かれてある。
マーケティング理論については個人的に何回も勉強してきてはいるものの、やはり実際に指揮をとっている人の熱い言葉で書かれると新鮮で納得させられます。

印象に残ったのは

非常にわかりやすい言葉で書かれていますが、内容については結構高度なものもでてきます。
僕が印象に残ったのは3つ。

1、戦略の4事象

まず、戦略が存在する意義について書かれてあります。

しかし、現実は達成したい目的に対して資源は常に足りないのです。どんな大会社でも
資源は常に不足しています。(Line1202)

人・モノ・カネ・情報・時間・知財といった経営資源が足りている会社はほとんどありません。
というか、効率化を進めなければ競合には勝てませんから、意図的に飢餓の状態を作り出しているといった方がいいかもしれません。
自分の周りの会社を見回していればわかるように、つねにぎりぎりのところで人員は配置されているでしょうし、
ギリギリのところで役割分担されている。そうすると当たり前のように時間も足りなくなるのが当然なわけです。
だから、資源を効率的に配分する「戦略」という概念が必要になってくる。

ま、ここまでは当たり前の解説です。

考えさせられたのは戦略と戦術の組み合わせの優劣の話。

以下の状況判断で優劣をつけるとするとどうなるか、といった設問。

A:戦略 良 戦術 良
B:戦略 良 戦術 悪
C:戦略 悪 戦術 悪
D:戦略 悪 戦術 良  (Line1408)

普通ならたぶん、ABDCと考えるでしょう。素直な考え方。でも違うんです。

つづきは本書を読んでくださいとしかいえませんが、本書にはそういう気づきが随所に埋め込んであります。
戦略的に考えるとはどういうことか、戦術とはなにか。非常に平易な言葉で表されているので、経営企画、営業企画、そういった部署につかれたばかりの方にはうってつけの本です。

2、「伸びしろ」という考え方

入場者を増やして売り上げを伸ばすのに、彼は伸びしろの高い月は何月なのか、
という分析からハロウイーン・キャンペーンという企画を考え出しています。
確率統計理論(ガンマ・ポアソン・リーセンシーモデル)から数学的に算出したといっているのですが、
この「伸びしろ」という考え方が、門外漢の僕には新鮮です。

一月から十二月までのどの月が稼ぎ月なのか、算出することはあるでしょうが、
どの月が、潜在的な増加要因を秘めているのかを考える、ってのはちょっと僕の周辺にはなかった。
プロですから、いろいろな売り上げ増強戦略を考えて当然なのでしょうが、なるほど、といった感じです。
徹底的に数字データを分析したうえで、戦略を練り上げているという印象がします。

3,戦況分析

戦況分析とは「市場構造がどう変わって行っているのか」ということのようです。

この市場構造を一つの機械(マシーン)と捉えて、その仕組みをちゃんと理解することが重要です。どの利害関係がどう繋がっているのか、なにが何によって決まっているのか、どこを押せば何がどう動くか……。(Line1668)

つまり、市場を連立方程式のように表せるまで分析せよ、と言っているのだと思います。
言われてしまえばそうなのですが、これ非常に難易度は高い。

しかし、おっしゃることはその通りだと思いますし、彼はやってきているのです。

最後に

NHKプロフェッショナルでは
仕事から帰宅後、毎夜自宅で深夜まで人気のゲームを体験し、なぜ人気なのか、
なぜおもしろいのか体で理解されようとしている姿が映し出されていました。

本当はそういうところを具体的に書いて欲しかったですね。マーケティング理論だけではなく、
センスをどうやって磨くのか。それは、天性のものなのか、それとも、努力次第である程度は磨かれうるものなのか。

次回、「確率論でのマーケティング(仮)」という本が出されるらしいので楽しみにしたいと思います。

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