筑摩書房
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考えに煮詰まったとき
よく手にするのが
「思考法」の本。
日頃から直感やひらめきで仕事していることが多いので、
論理的に考えることの重要性をおしえてくれ、頭を柔軟にしてくれるこの手の本は非常にありがたいのです。
新鮮な視点はいつも大歓迎。
この本は最近読んだそんな本のなかでも、一番ガツンと来たものです。
自分の頭で考える
地頭力(じあたまりょく)とはあまり聞かないことばですが、ようは
「自分の頭で考える力」
のこと。
言葉は簡単ですが、やるは難しい。
なにも訓練をしなければ、連想ゲームのように思いついきで答えを出しがちです。
例えば、昼食をなんにしようか思いつきで決めてもらっても問題はないのでしょうが、仕事となるとそれだけではちょっと厳しい。
もちろん直感でやり過ごすことは簡単だし、それで正しいことも多いのですが、理論武装は必要で、
なぜなら組織の中では
「なぜ」を説明しなければならない機会が多いからです。
「なぜ」そういう行動をとったのか。
「なぜ」そう思うのか。
「なぜ」それを選択したのか。
明確に答えられなければ、頭が悪いと思われるかもしれませんし、上っ面な人間と思われるかもしれません。
そうならないために、考え方の基本はがっちり押さえる必要があるのです。
考え方のポイント
本書はストーリー仕立てとなっていて、
若手営業担当SEのマサヤくんがその道のプロの”ドク”に考え方の基礎を教わる形で解説が続いていきます。
要点だけ、かいつまんでみますと
考え方の基礎1 問題解決はWhy→What→Howの形に落としてから始める
まず、whyっていうのがなぜ、つまり 『理由』 『原因』とか 『目的』だね。これが一番重要な言葉だ。問題解決のすべての出発点がここにある。そして次がWhat、これがその目的を達成するために『やること』 だ。そしてhowがその施策をやるための『具体的なやり方』ということになる」
マサヤ「目的→やること→具体的なやり方というわけですね」
P24
お分かりかと思いますが、これはよく言うロジックツリー(論理の木)です。
著者はコンサルタントらしくオーソドックスな道具をアレンジして読者に提示してくれているのです。
また、それがわかりやすいから非常に勉強になる。
本書の随所に、この形がでてきて、考えさせられるので問題の捉え方が自然に身につくようになっています。
考え方の基礎2 「結果から」・「全体から」・「シンプルに」考える
「結論から考える」ってのは、さっきの言葉でいう「最終到達地点」に磁石を置いてみるようなイメージとかんがえればいいかな」
P43「全体からかんがえる」っていうのは簡単ですけど、実際にこう考えるのって難しいですよね。そもそも自分のあまり知らない分野だと、これが全体だっていう範囲をつかむこと自体が難しいですよね。」
「そういう場合には、「思考の白地図」を使って考えればいいんだ」
「思考の白地図ですか」
「そう、世の中で一般的に「フレームワーク」と呼ばれているものがそれに相当するんだけど、……」
P66「ところが、いざ自分がある世界にどっぷりつかってしまうと、こういう根本的なことが見えなくなってしまうんだね。だから「単純に考える」っていうことが重要になってくるんだよ。……。
P79
断片的な引用でちょっとわかりにくいかもしれませんが、
(項目一つに一つづつ引用させてもらいました)
「結論から考える」ってのはようは「仮説思考」。
「全体から」考えるってのは「フレームワーク思考」。
「単純に考える」ってのは「本質思考」
を指しているということなのです。
このへんのところは、他の問題解決本と同じですが、わかりやすい具体例で説明されているし、Why→What→Howという新たな視点を導入されているおかげで、決して陳腐さを感じず、新鮮な気分で読むことができます。
最後に
基礎1を土台にして、結論から・全体から・シンプルに再構築しながら最適な解を導き出すこと。
これが著者の主張です。
もちろん、内容はこれだけにとどまらず応用できる項目がたくさん。
さっそく、実際に問題をこの形で置き換えて考えてみようと、もっか取り組み中です。
生の問題に当てはめてみて、初めて「あ、そういうことか」とだんだんわかってきている次第。
今後が楽しみです。
若手社員向け、と書かれていますが、
ベテランでも考え方に迷った時に、本書を紐解く価値はあると思います。
迷える子羊はぜひご一読をオススメします。
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