こんな本を読んでみた!

コンセプトとはなにか?「成功はすべてコンセプトから始まる 木谷哲夫著 」を読んで思ったこと。

仕事をしていると、

よく「コンセプトが必要だ」
とか。

「こんどのコンセプトはこういうのにしよう」
とか言われることがあると思います。

 

でも、コンセプトってなんで必要なのでしょうか?

果たして考える意義があるのでしょうか?

 

なんせ、コンセプトを辞書で引くと

・概念
・構想
・大まかな内容

などと非常につまんない説明がされていることがほとんどなのですから。

 

で、

コンセプトについて勉強したくて、手にとったのがこの本。

 

 

 

成功はすべてコンセプトから始まる
ダイヤモンド社 (2013-01-28)
売り上げランキング: 23,591

 

 

著者は

マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の京都大学教授。いかにも、という感じの人です。

一体、彼はどういう解説をしてくれるのでしょうか。コンセプトの意味はこの本でわかるのでしょうか?

3つだけ、キーワードを取り上げて本書を紹介してみたいと思います。

 

 

コンセプトに関する3つのキーワード

 

1,まずコンセプトありきで考える

つまり、「まず決定して、それから細部を詰めていく」手法をとったのです。
コンセプトを決定した以上、後はその実現に邁進するだけです。
ページ20

 

僕が本書で思ったのは、こういうことです。

例えば、あなたが脱サラして事業を起こしたいと思ったとします。

普通なら、こう考えるはずです。

まずは、自分の能力の棚卸し。

手元には現金が500万円。
持っている資格としては、普通自動車免許に簿記2級。
自動車はあるが、軽自動車しかない。

いたって普通の、逆に言うと、なんの能力もない人なんだ、ってことに気づきます。

ならば、カフェでも開こうか。誰でもできる仕事だし、こじんまりとしたカフェなら一人で運営もできる。小さく初めて大きく育てれば、それが一番じゃないか、と。

 

でも、
著者はこれではまず、成功できない、と言います。

まず、考えるべきはコンセプト

人が惹き付けられるワクワクするような事業、例えば、最近はやりの本屋さんとカフェが合体したシェアハウス。または、勉強ができるカフェ、犬と共存できるカフェ、など

人を引きつけるような魅力的な事業をまずは考えてから、、細部を詰めていく。

お金は不足するなら、他人に出してもらう。一人でできないなら、人を雇う。人にお願いする。
自分にできることからはじめる事業なんて、誰も振り向きもしないよって。

 

 

 

2,一人でやるべからず

一人では困難を乗り越えられません。仲間が必須です。また、大きな「コンセプト」を実行するには、多くの人を共鳴させ、動員する必要があります。一人で満足しているベンチャー企業の多くは、その人に共鳴力がないか、自分のやっていることを大きくする意思がないかのとちらかです。いつまでたっても飛躍することはありません。
P91

 

あのAppleのスティーブ・ジョブスの伝記を読んで思ったのは

彼らの獰猛さです。

製品づくりに必要であれば、
素晴らしい技術を持った会社をまるごと買収するし、技術者を引き抜いてくる。
あるいは盗んでしまうことも厭わない。

資金が足りないなら、資金を持った資産家を口説いたり、有力起業家と手を結んだりする。

 

つまり、

彼らは「コンセプトファースト」で動いているのであって、自分たちが何ができるかなんて発想はしていなかったのだと、よーく分かります。

人を巻き込む天才だったんですよ。彼は。

 

でも、これは裏返すと、品がないと感じるし、小動物を捕獲する猛禽類のように獰猛に映る。卑怯であくどいやり方と考える人もいるでしょう。

でも、これが今のビジネスの現実。

 

その時に必要なのが「コンセプト」。

欲しい技術を持ったエンジニアに「うちに来いよ」と口説くのに使うのは「コンセプト」。

うちに1億円投資すれば、こんな夢をみることができるんだ、と投資家に説明するのに使うのも「コンセプト」。

口説くために「コンセプト」はあるのですよ。

 

だから、もし、
まずは一人で……。

事業を始める時にそう考えているのだとしたら、
それは間違っている可能性が大です。

 

そんな考えで育つはずがないから。

 

 

3,オリジナルティにこだわるな

「オリジナルを目指すな」と言うのは、私のマッキンゼー時代の師匠、横山禎徳氏の教えです。アイデアのオリジナリティーにこだわるのは、失敗への第一歩です。詳しくは第3章で触れますが、単発のアイディア自体を出すことよりも、それを将来「持続させる」コンセプトに練り上げる方が大事であり、また実際に難しいのです。
覚えておくべきは、アイデアは、あくまでコンセプトの1部に過ぎない、と言うことです。
P58

 

まず、アイデアがあって、それをコンセプトまで練り上げていきます。
それがコンセプト作りのオーソドックスな考え方。

ですが、このアイデアってのが曲者で、

そう簡単に頭の中にひらめいてはくれません。

ましてや、人をびっくりさせるような見たこともない斬新なアイデアはそうそうひらめくものではなく

出てくるアイデアの多くは、他人が実際やっている事業を真似たものになっていたりするはずです。

「人まねしか、発想できない自分に無力感を感じてしまう。」

そう思うのがほとんどでしょう。

 

でも、心配ご無用!

ドイツの企業で、アメリカや中国などで流行ったたくさんのビジネスモデルを、まったく違うエリアに持ってきて(ようはビジネスのコピペだけで)、成功させている企業があるそうです。

世界中のビジネスを「コピペ」するロケット・インターネット社の全貌 | そっくりに真似をするだけで丸儲け! | クーリエ・ジャポン

その名もロケット・インターネット社。
Googleの元社員だったという社長は、勢いに乗って、上場を果たしたのだと言うのです(でも、今はうまく行ってないという噂も……、)。

コペピで上場を果たした企業として、一時ニュースになっていました。

でも、これ、

かつての戦後の日本がそうでした。

スーパーマーケットがそうですし、ユニクロの販売方式もアメリカでひらめいたと言います。それにTV番組もその多くがアメリカのTV番組をコペピしたものです。

ビジネスのアイデアってコペピでよくって、

それほど難しくは無いのです(ただアレンジは必要)。

 

実は

本書の中で、筆者はこうも言っています。

人と異なる発想をするには、まず自分の目で見た一次情報を蓄積し、リソースを蓄えることが大切です。
そして、二次情報においては、ノイズを除去し、事実のみを正しく見ることが第一歩になります。世の中の常識を疑い、前提条件を疑い、批判的に自分の頭で考えて現実をみなければなりません。
P63

 

もし、自分が体験した一次情報を元にアイデアを発想できたとしたら
それは立派なオリジナリティのあるアイデアだ、ってことです。

 

一時情報をもとに発想をしたものならば、なんら卑下する必要はないのです。

 

「アイデアは組み合わせに過ぎない」。

古くから言われていることですが、本書でも、その重要性が説かれていました。

 

 

まとめ

 

で、最初の質問に戻って

「コンセプトは必要なのでしょうか?」
意義があるのでしょうか?

ってことですが。

答えは
事業を育てるには必要です

これにつきます。

 

先程から説明のとおり、事業は人を巻き込みながら大きくしていくものです。決して一人では事業を大きくすることはできません。逆に言うと、生き残るためには人を巻き込む必要があるってことです。

なので、

人を巻き込むために、人を口説くために

コンセプトが必要なのです。

 

ここで紹介したものは、もちろん本書のごくわずか一部分に過ぎません。

僕が勝手に解釈したことなので、詳細は違っているかもしれません。

もし、コンセプトに興味が湧いたなら、ぜひ、本書の全文を読んで見ることをおすすめします。ひょっとすると、読む人により、違った解釈をされるかもしれません。

事業にどうやってコンセプトを活用していくのか、それを知るにはベストな本でした。

おすすめです。

 

 

 

成功はすべてコンセプトから始まる
ダイヤモンド社 (2013-01-28)
売り上げランキング: 23,591