今更、とは思いつつも、
こんなお堅い本を読んでみることにしました。
集英社
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マルクスが書いた「資本論」。それを池上彰さんが解説するという!
大昔、経済学部の学生のころ、一度はひもといてみた本ですが、ごたぶんにもれず挫折し、エッセンスだけを理解し、僕の世界からは抹殺状態になっていました。
池上本で復習するのも悪くない!
そういう思いで手に取りました。
あ、僕はマルクス主義や政治思想は基本的に無色透明人間ですので、単なる興味本位で読んでいますので悪しからず。専門ではありません。「考え方」の一貫として読んでみたのです。
そんなごくごく軽いレビューです。
気になった言葉達
以下、
資本論の内容についてはさておき、僕がとくに気になった部分について書いみます。
1.派遣切り、格差社会はすでに140年前にマルクスは予見していた
マルクスの「資本論』を今あらためて読み直すと、「140年前のことを書いたのに、まるで今のことを言っているようだ』ということがいろんなところにでてきます。
社会主義が勝手に崩壊してしまったのを、資本主義が勝ったんだというふうに驕り高ぶって、昔の資本主義に先祖返りしてしまって、結局マルクスが書いていた頃の「資本論』の時代にもどってしまったんではないかな、ということなんです。
P22
予見していた、というよりも既に問題が散見されていた、と言った方が良いのでしょう。マルクスが生きていたその時代、既にあちこちに工場ができ、あらゆるものが生産されていたのですが、労働者は過酷な労働環境により、貧困にあえいでいたのです。
だから、資本主義ってそもそもなにもしなければ貧困にあえぐように出来ている、と言うことなのでしょうか?
2,社会の基本は商品である。
資本制生産様式が君臨する社会では、社会の富は「巨大な商品の集合体』の姿をとって現れ、ひとつひとつの商品はその富の要素形態として現れる。したがってわれわれの研究は商品の分析から始まる。
P44
僕たちは日々、商品に囲まれて生活している。
言われて見ればそのとおり。
バスや電車の乗車賃も商品だし、コンビニで買う弁当もジュースも、商品です。
あたり前のことが当たり前すぎて理解できていません。
教育も、公務員もあらゆるものが商品なのかもしれません。
そうか、これが資本主義の世界なのか、「すべてのものが商品として並べられている社会』これが資本主義社会なのかと感じ入った次第。
3,労働力も商品である。
資本家は労働者を雇って労働者に働かせた。労働力の分だけの価値を稼ぐ時間、これが「必要労働』ということになり、それ以上の分が「剰余労働』ということになる。〜中略〜
つまり、労働者は自分の労働力分以上の価値を生み出す。本来のものよりもうんと価値のあるものを生み出すということです。
こういうことを「詐取』と言います。
P121
でた!
「詐取』。
この言葉、社会主義思想のよくあるキーワードですよね。
でも、この池上「資本論』を読んでいくと詐取されているのは確かのようですが、マルクスは必ずしも資本主義を悪いとは言っていない部分もある。
それが次。
4,協同で皆で働くから驚くべき付加価値の高い製品を作ることができる。
相当数の労働者が同じ時間に同じ場所で(あるいは同じ労働現場でといってもいいだろうが)同じ資本家の指揮下に同じ種類の商品の生産に従事することが、歴史的に見ても、概念的に見ても、資本制生産の始まりなのである。
P168
すいません、池上さんが解説している内容とは若干違うかもしれないのですが、マルクスのこの言葉を聞いてこんな風に発想してしまいました。
「生産性が高いってどういうことなの?』
当然といえば当然のことですが、高付加価値な製品は一人だけでは得られないのではないかとふと思ったのです。
一人だけの力で作られる商品などたかがしれている。
そうなのか…。と。
よく考えてみるとそうなのかもしれません。
書店には「生産性を高めよう』てな本も最近は多く見かけるのですが、所詮、一人だけの力で生産性を高めようって考えてもたかがしれている。
どうやって皆の力を集めることができるのか。これが問われているんだ、と。
最後に
もう、最後かってなくらい素っ気ないレビューで恐縮なのですが、
ようは古典を読むと「ハッ』とすることがあるということです。
昔の人がどういう状況でどう考え、どう行動したのか。それを知ることは非常に勉強になります。
まあ、経済専門の方は、池上資本論はちょっと違うんだがね-。と思われるかもしれませんが、
でもこの池上資本論はサクっと読めて、新鮮な考え方を味わえる良書ではないでしょうか。
気分転換には最適ですよ。
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