やっとまともな映画を見ました。
良い良いとは聞いていたので、早く視聴したいと思っていましたが、ようやくツタヤさんの先行レンタルのおかげで視聴することができました。
もう多くの方が観劇済みなのでしょうが、素晴らしい出来だったので感想を書いておきたいと思いました。
1
売れないジャズ・ピアニストが女優志望の女性と出会い、夢見る二人がどう変わっていくかを描いたミュージカル・ラブ・ストーリー。
あらすじなどはこちらに詳しい。
2
監督は、僕が以前5点満点の評価をしていた「セッション」と同じデミアン・チャゼル監督。
まだ、32歳の若年ながら素晴らしい映画を連発です。
調べてみると、ハーバード大学の視覚環境学部で映画制作を学んだエリート(こんな学部があるのか(^o^))。いや、素晴らしい監督がでてきたものです。
日本の映画界も見習ってほしい。
彼の映画の特徴は、主人公の二人にスポットライトがあたるシナリオ演出。
勝手に解釈していますが、セッションでも感じたこと。
セッションの場合は、指導教授のフレッチャーと生徒役のニーマン。それ以外にもたくさんの人が登場しているにもかかわらず、最後、印象に残っているのはこの二人だけ。恋人も同僚も登場していたけれど、透明人間のように消え去ってしまった。
このララランドも同じで、たくさんの登場人物が配されているのに、最後記憶に残っているのは、主人公のセブと、ミラの二人のシーンだけで。その他の人物の印象など木っ端みじんになくなってしまうと言う不思議さ。
ひょっとすると映画界の人が見たら当たり前の演出なのかもしれませんが、個人的には多くの映画を見てきたなかで、こういう印象を感じたのは、この監督の作品だけのように感じます。
それにしても、この若さでこれだけ多くのミュージシャンやダンサーを動員し、しかも映画スタッフにグリップを効かせるって相当大変でしょうに、どうやってまとめていったのか、聞きたいですね。
かなりな大人数なロケだと思うので、相当手間がかかったはずです。
3
何が素晴らしいというかというと、人間の心に訴えてくれるシナリオ、演出、音楽、すべて。古き良きハリウッドの映画がよみがえったとも感じます。
ジャズ・ピアニスト扮する主人公が奏でる音楽をうまくシナリオに取り入れ、人の魂を揺さぶることに成功しています。
実は、シナリオの骨の部分はたいしたことはない。実に地味な恋愛ドラマ。今までも何回も見てきたであろうような陳腐な男女の愛の物語。これだけでは感動しそうにはありません。でも、ダンスや音楽、歌が加わることで、ここまで素晴らしい映画に仕上げているのです。
4
ネットで調べてみると、映画化にはかなり苦労したよう。案自体はそうとう以前から持っていたようですが、さきほど書いたようにシナリオ自体が地味で興行ベースにのるか、制作会社が難色をしめしたようで、まずは、より単純で予算も少なくてすむ、「セッション」から撮影し始めたとインタビューに答えています。
http://realsound.jp/movie/2017/02/post-4167.html
ハリウッドもやはり、興行収入が見込まれそうな映画でないと日の出を見ないらしく、地味でまじめな恋愛物語は難しいようです。
5
主演のセブを演じる俳優はライアン・ゴズリング。
「君に読む物語」に出ていた俳優らしい(覚えていませんが)。柔らかく味のある俳優さんで、演奏シーンを巧みに演じています。
相手役がエマ・ストーン。踊りが抜群にうまいです。幼少からかなりバレエを特訓されたのではないでしょうか。素晴らしい。
ただ個性が強い顔は好みが別れるかもしれません。楽しい役者さんといったかんじ。
この二人ともに、本格派の実力俳優です。
6
すべての面で計算され尽くしてますよ。これ。
一番それを感じたのが「ミアとセブのテーマ」というピアノのバラード曲。
二人の出会いの曲もこれ。そして、映画館で待つセブのもとに駆けつけようと決断した時の曲もこれ。また、ラストシーンでミアに捧げるようにジャズレストランで弾いた曲もこれ。また、この曲が渋い。
二人のテーマ曲を一貫して物語のキモの部分で流すことで、顧客の心をわしづかみにできているのだと思う。
その曲自体は、良い曲ですが、そのへんに転がっていそうな曲といえなくもない。
これだけでも、相当計算してシナリオが構築されていると感じますが、ほかにも随所に感じる部分がある。
途中でその計算高い物語の構成に気づいていながらも、やはり、涙なくしては見れない自分に気づきました。
人の心をおもちゃにされているようで悔しいですけど、でも、それだけほんとに緻密に作られていることに関心しきりです。
最後に
この映画、ぜひ、見るべし、です。
あまりに計算尽くされすぎて、正直嫌みにも感じますが、でも、素晴らしいことに変わりはありません。
この映画の出来ならば、5点満点中5点をつけざるを得ませんね。
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