KADOKAWA/中経出版 (2015-06-12)
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PDCAは仕事の基本です。
そんなこと誰でも分かっていると思いますが、
でも、
これほど人口に膾炙しながらうまく使われていない仕事用語というのもないでしょう。
多くの場合、理解されずに使われていたり、上から言われて仕方なくやっていたりで、形骸化しているというのが実態だと思います。
僕自身も、なんとかうまくPDCAを仕事に取り入れたいと願いつつも、まったくうまく使えていないのです。ですから、前々からこのテーマ、なんとかものにしたいと思っていました。
それで、この本なのです。
PDCAとは?
PDCAとはどういうものか、おさらいのために本書から拾ってみましょう。
P …… 計画 仮設を立てて計画する。
D …… 実行 仮説をもとに、計画どおりに実行する。
C …… チェックする。 データとして記録する。仮説どおりに結果がでたかを検証する。
A …… プランの練り直し。検証の結果、仮説通りなら継続する。仮説と違っていれば、改善する。
こういうことになります。
ここで、気づかれたかと思いますが
一番大切なことは
仮説をたてることです。
仮説なしに計画を立てても意味がありません。
仮説を検証して、原則や法則を打ち立てるためにPDCAを行っているわけです。
でも、多くの場合は、仮説ではなくトップダウンで目標が降りてきて、仮説の検証もなしに計画され、計画との差異ばかりが議論の対象となってしまう。
やれやれドンドン。営業は義理と人情じゃ、仮説など関係あるかい!ボケ!ってなもんです。
計画より実績が上回っていれば何も議論されず、下回ると、「やる気が無い」と言って叱責され、反省会を開く。
やがて、決起大会。がんばるぞ!おー!って頭がイカレルまで酒を飲んで、何かをやった気分になって安心する。
これが、多くの企業の実態です(とくに僕の会社。最悪)。
だから、PDCAがうまく回らないのです。
ただ愚直に行動するだけの根性論に陥ってしまいがちです。
本書で学んだ点はPDCAの本質が仮説の検証にあることに気づかせてくれた点にあります。当たり前といえば、そうなのですが、そんなことさえ、わかっていないのですよ。
最初の仮説は適当に
多くの方は仮説を建てることの重要性は分かっているのでしょうが、
どう立てたらいいのかが分からない。ってことだと思います。
そこを本書ではこう言っています。
最初から完璧な計画を建てようとしても、必ず市場ニーズとのギャップは出てくる。
だとすれば、最初は仮説としての計画をデタラメに立て、その仮説に基づいて実行し、結果を見てその後で対策を練ればいい。
最初の仮説はアバウトで良いのです。
大切なのは実行することと、そしてその後のことだ、と言っているのです。
答えのない問い
僕らの仕事というものには、「正解」はありません。
ある時点で正解と言われていたことも、時代や場所が変われば、通用しなくなったり、あるいは重要な違反行為とされることもあるでしょう。
また、正解は複数あるのが普通です。どれをとっても正解のように見える。でも、人によっては誤りだと指摘する人も居ます。全く混乱しますよね。
でも、どれか一つを僕らは選択しなければなりません。
その答えのない問いを解決する道具。それがPDCAだと思うのです。
常に仮説をたてて検証し、どんどん仕事の質を高めていく。会社をどんどん変えていく道具。
結論として
本書を読み、僕の体験なども考慮して考えると、PDCAというのは結局、
数字として記録を残すこと。それをチェックすること。
これに尽きる。
と思います。
ちょっと前に「データ記録ダイエット」ってものが流行ったことがあります。
毎日とにかく体重を記録をつけるだけでダイエットすることが可能になる、という説で、当時絶賛されました。
そういえば、ライフログってのも流行ったな。とにかく自分の行動を記録しよう……。って。
PDCAを意識してこういうものが流行ったのかどうかは不明ですが、兎にも角にも、毎日、実行した結果を数字として記録し、客観的に捉えることこそが、PDCAの要諦だし、第一歩だと僕は思うのです。
問題はそれができるか、どうかです。
本書を読めば、実践的なヒントが満載されています。
最近は多くのPDCAに関する本を書店でも見かけるようになりましたが、僕はこの本が一番しっくりきて面白かった。
非常に実践的でお勧めです。
(Kindle版をおすすめします)