「押出ファイリング」というやり方で書類(はがき、請求書、パンフレット、取扱説明書など)を整理し始めてもう10年ほど経ちます。
シンプルなやり方なので、忙しく、整理に時間をかけられないビジネスマンにはピッタリの整理法ではないでしょうか。
非常に気に入っています。
この整理法を知ったのは、「超整理法」という本に紹介されていたからでした。
昔、かなり流行った本なのでご存知の方も多いと思います。
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でも、最近、記憶をたどってみると、
肝心の
この本の中身の記憶がほとんどないことに気づきました。
あれっ、何で?
それで、ちょっと再読してみたのです。
すると、思いもかけない発見をしました。
自分のやり方は間違っていた?
いろんな気付きを得ることができました。
そもそも、この「超整理法」
「押出ファイリング」について書かれているイメージが強いのですが、
実はそうではなくって、
これがテーマのようなのです。
(押出ファイリングはその無駄な作業を省く切り札というわけ)
このブログテーマにふさわしい内容じゃないですか。
個人的には自分のやり方を批判されているように感じた部分も多かったのですが、
そのコアの部分を
3つ挙げて説明してみたいと思います。
1,思考作業は頭の中で行う
当たり前っちゃ、当たり前のことを言われているのですが、
でも、いろんな思考術の本がでている昨今、考えさせられる内容です。
世に、「発想法」や「発想術」と銘打った本は多い。そこには、フローチャートやマトリックス、あるいは点検表や系統樹などを使った様々な方法が提案されている。
しかし、私はこうしたものを基本的に信用していない。このような定型的な方法に縛られねばならぬなら、発想とは、なんと窮屈な作業だろう。アイデア生産は、もともと精神の自由な活動であるはずだ。それがいくつものルールに規定されされねばならないというのは、どこかおかしい。
ページ167
立花隆は、インプット(情報の収集等)とアウトプット(書くこと)の間は、頭の中で無意識のうちに進められる操作であり、ブラックボックスだと言う。その間は、頭の中の醗酵を待つのだと言う。
P181
手で書きながら、アイデアを練る。考える。
これが当たり前のことだと思っていました。
ランダムにアイデアを書きながら、さらに別の素晴らしいアイデアを出していく。
こんなアイデア出しのやり方を当然のことと疑っていなかったです。
でも、違うと言われるのです。
なぜ、紙に書く?
そんなもの頭の中でやればいいじゃん!
そういうことなのです。
さらに続きます。
これに対して立花隆氏の評価は、かなり厳しい。
KJ法の原理は非常に重要なことだということはわかっていた。しかし、それは、……昔から多くの人が頭の中では実践してきたことなのである。……KJ法のユニークなところは、これまでは個々人の頭の中で進められていた意識内のプロセスを意識の外に出して、一種の物理的操作にかえてしまったことにある。
これが、利点となるのは、頭が鈍い人が集団で考えるときである。……意識の中で行われる無形の作業を物理的作業に置き換えると、能率がガタ落ちする。
P187
KJ法というのは有名なカードを使ったアイデア出しの方法です。
それを
他人の言葉を引用して、痛烈に批判しているんです。
特に、「そんなことをする人は”頭が鈍い人が……”」、という下り、スゴイ言葉ですよね。
紙に書きながら考えるのは、時に非効率になることがある。
こういうご指摘です。
ただ、メモやノートの利用を全く否定されているのではないのです。アイデアを記録したり頭の中を整理するのにノートも有効だと言われています。
アイデア出し = 頭の中
アイデアの記録・思考の整理 = 紙、ノート
こんな感じの使い分け。
「紙に書きながら考える」と言われがちな今、
考えさせられる内容です。
恐らく本当にスピード感を持って仕事をこなす人は、
頭の中だけで思考がぐるぐる回転し、仕事を完結させてしまっているのかもしれません。
2,分類するな!時系列に整理せよ!
システム手帳やルーズリーフ手帳を、最近多様している自分には猛烈な非難だと感じましたね。
なぜ、分類せずに検索できるのか?基本的な考えは、次の2点に要約される。
まず検索方法に関して、コペルニクス的な発想の大転換をする。それは、前に述べた分類の問題が一切生じない検索のキーを用いることだ。
そうしたものは存在するか?私の知る限りでは、1つ、そして唯1つだけ、存在する。 それは、時間軸である。つまり、すべての情報を時間順に並べ、時間軸をキーとして検索を行うのである。
P24
身の回りのものを整理するコツは分類して保管することです。
パンツはここ。靴下はここ。シャツはここ。と。
このように分類することは有用なことに間違いないと思います。
著者も認めています。
でも、
これがコト、
情報や書類の整理ということになると、大きく違ってくる
のです。
ヘタに分類すると二度と探し出すことができなくなることもあり得ます。
だから、
シンプルに時系列に書く、時系列に並べる。保存する。
(ポケット一つ原則を守れとも)
推奨されているのは、「ノート」です。
アイデアは頭の中でしか生まれない。それはトイレの最中かもしれないし、散歩やランニングのときかもしれない。
なので、閃いたアイデアをメモるために常時小さなノートを携帯しておいて記録する。
でも、無駄なことはするな
時系列にただ書くだけで良い。分類など絶対するな!
システム手帳やルーズリーフノートをアイデア製造機として活用しようと模索していた僕には
ちょっとショックでしたね。
紙のメモで重要なのは、紛失防止である。メモ用紙などのバラバラな紙片に書くと、「メモはしたが、どこにいったか分からなくなった」という事故が頻繁に起こる。ノートに挟んだか、書類入れに入れたか、鞄の中か……。
これは「複数ポケット問題」だ。これに対する解答は、「ポケット一つ原則」を守ることである。
メモは、一冊のノートに集中させる。メモ用紙やカードはできるかぎり避ける。
P193
システム手帳やルーズリーフノートをどう使いこなすか?
これは今後の課題なのかもしれません。
3,パソコンはアイデア発想マシン
昔からデジタルとアナログ論争ってのがあります。
アイデアを創出するにはどちらが有効なのか?
昨今ではアナログが見直されているような気がしますが。
具体的にはメモの収集手段とパーソナル・コンピューターだ。この2つを組み合わせると、アイデア製造機になる。
なかでも強力な手段は、パソコンである。「パソコンはアイデア製造機だ」と、私は思っている。
P169
超整理法の発想は、情報をコンピューターで処理することと深い関わりを持っている。超整理法による情報管理が実用的になる大きな理由は、普通の人でも情報の大部分をコンピューター処理できるようになったことである。したがって、超整理法は、電子時代だからこそできる情報管理法なのである。
P89
極力パソコンで管理することが、情報管理の究極の姿、
と著者は思われているようです。
頭の中を整理したり、アイデアを記録するためにメモは外せない。でも、それ以外はすべてパソコンでいい。
こんな記述もあります。
第二点は、コンピューターを普通の人でも使えるようになったので、出来る限りこれに依存することである。コンピューターの処理速度は極めて高速なので内容分類によらずに検索することが可能になった。したがって、「あらかじめ整理しておく」という必要がなくなったのである。
P24
パソコンならHDDに放り込んでおけば、キーワードを検索すればすぐさま必要なデータ・書類を引っ張ってきてくれます。
それに、編集機能も自由自在。
文字のコペピ、段落の入れ替え、文字の大きさ、色など。写真や動画を配することさえ可能です。
確かに同意することは多いです。
iPadやMac、ポメラなどを使いながら考える機会が最近は多くなりました。特に字がヘタな自分のような人は、デジタルの文字を見ると見やすく、頭の中が整理されたような錯覚さえしてしまうほどです。
でも、デジタルに偏ってしまうと、何かしら不安になるのも事実で。
バランスなのだと思います。アナログだけを使い続けるのも非効率だし、デジタルだけでも非効率でしょう。
考えたこと
ブログを書いたり、仕事のレポートだったり、いろいろ文章を書く機会が多いのですが、
時に、「要領悪いな、俺は!」
と思うことが時々あります。
なかなか捗らないのです。
取材をする。調査に駆けまわる。でも、調査をすればするほど、情報は混雑し、どうまとめたらいいのかわからなくなったりします。
だから、いざ書いてみると、筆が止まる。書けたら書けたで、中身がスカスカでつまんないと、思ったり。
そんな、悩みにこの本は解決策を与えてくれそうに思いました。
情報管理の基本のキ、を懇切丁寧に紐解いてくれているのが本書
です。
見なおすべきは、
・ 紙上で考える作業を少なくしてみる
・情報管理をデジタルでするにはどうしたらいいのか。
・デジタルとアナログ、その思考バランス
こんなところでしょうか。
考えがまとまったら、また、記事にしてみたいと思います。
まとめ
ってことで、本書で感じたことを3つだけ挙げさせていただきました。
いやー。
分かっていた内容もありましたが、かなり考えさせられた内容でした。
筆者は関連本でこんな本もだしています。
(このブログでも取り上げました)
筆者のテーマは一貫しているのです。
いかに効率的にアウトプットするか
これです。
無駄な作業をしていないか?常に胸に手を当てて考える必要があります。
今回紹介させていただいた内容は、かなり端折っています。
3つだけしか紹介してませんので。
なので、もっと詳しくお知りになりたいと思ったら、
是非、本書を手にとって見てください。
情報管理に悩んでいる人、アイデア出しに悩んでいる人にオススメの本です。
きっと何かヒントを得られるのでは、と思います。
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