【ブックレビュー】伊賀泰代さんの「生産性 〜マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの〜」を読んでためになったこと

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生産性

ある雑誌の企画で、最近オススメのビジネス書ランキングで堂々1位に輝いている本書を見て、読んでみることにしました。

事前予想は
退屈な本だろう……な、です。

まったく期待していませんでしたね。

どうせ、こちらの記事の受け売りで、生産性の低い日本企業はダメだ、とそういう主張を展開されるのではないかと思っていたのですが、

そうではなかったです。示唆に富む内容が結構多かった。

そんな僕が唸った項目をランキング形式にして、3つだけ紹介してみたいと思います。

1,生産性とは

(本書から引用)

この本を読んで一番唸ったのが、これ。

生産性=得られた成果÷投入した資源

というこの図式。

当たり前といえば、その通りなのですが、改めて考えたことがなかったので、感銘を受けました。

生産性を高める方法には2つあるんです。

生産性を上げるには、「成果を上げる」と「投入資源量を減らす」という2つの方法があると理解した上で、安易に投入資源量を増やさないこと、そして、コスト削減だけでなく付加価値を上げる方法も併せて考えることが必要なのです。

ページ33

そうです。

2つの方法とは

A:  投入される資源(時間など)を減らす方法

B:付加価値を増やす方法

まじまじと見てしまいました。

普通の感覚で議論する場合、多分、A案、つまり投入資源を減らすことしか思い浮かばないのではないでしょうか。

< 残業をせずに時間内で終わりたい >

こんなテーマで議論する場合、稟議や報告書は同僚に協力して書いてもらうとか、儲からない顧客は訪問頻度を減らそう、とか

こういった観点から考えを進めてしまいがちです。

でも、それだけではないんです。

「付加価値」、つまり出て来る成果を上げることでも生産性は上げることができるのです。

そうすると、短期的には残業が必要になるかもしれないけど、より多くの成果が上がることで、一週間・月単位でみれば、より短時間で仕事を切り上げることも可能になるわけです。

この付加価値を上げる、という感覚。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、大変重要な視点だと思います。

2,問題解決には「情報とロジック、それとリスクテイク」が必要

仕事上で時間を取ってしまうのが、判断に迷ったとき。問題が起きて、何らかの決断をしなければならなくなった時です。

上司同僚と協議をする時間も必要ですし、情報収集に時間がかかりすぎることもあるでしょう。

意思決定に必要なのは「ロジックと情報」で、このどちらかが足りないと結論が出せません。そして多くの会議では「今回、結論が出なかったのは情報が足りなかったからだ」とされています。

しかしそれらのなかには、「実は足りないのは情報ではなくロジックであった」という会議がたくさん含まれています。ロジックが欠けているのに、「情報不足で意思決定ができなかった。なので次の会議までに各部門でさらに多くの情報を集めてきましょう」という話にしてしまうと、何度 会議を開いても何も決まりません。 ページ216

会議のありかたについて今、話題になっていますが、それについてもシンプルです。情報よりも「考え方のロジック」に重きを置くべきだ、と。

ふつう会議はイエス、ノーを決めるために開くことが多いと思います。「ロジックを決めておこう」ってそんなことを話会った記憶は僕にはありません。

新鮮な響きです、会議にロジック……。基本的な考え方・方針さえ会議で決めてしまえば、情報は少なくても決断はできる、仮説思考と似たような考えです。

まあそもそもが、何らかのアクションを起こさないと入ってこない情報というのも結構あるわけで、静的な捉え方ではなく、動的な視点から捉えれば、この考え方非常に的を得ています。

参加者がこのRPG研修から学ぶべき最も大切なことは、「マネージャの仕事とは、トレードオフが存在する状況において判断を下すこと」だと理解することです。

ゲーム中に現れる選択肢は、どれか1つが正解で、残りが不正解と別れているわけではありません。「どちらも正解であり、どちら完璧ではない」という選択肢が複数示され、その中からどれを選ぶかという意思決定の練習なのです。

これは実際の仕事場でも全く同じであり、研修の参加者はこのプログラムを通じて、マネージャの役割とは、

  • どれも正解でどれも不正解である複数の選択肢からどれかを選ぶこと
  • 選んだ選択肢に伴う問題をあらかじめ想定し、 備えておくこと

だと学ぶわけです。

より端的に言えば、マネージャの仕事とは、

・決断をすること、と
・リスクに備えておくこと

となります。
ページ164

生産性の向上を目指した研修とはどんなものか解説されている箇所で、若干内容とはハズレますが、参考になったので合わせて引用させてもらいます。

つまり、マネージャの仕事とは決断すると同時に「リスクテイク」をきっちり行うことだといっているのですね。ここにハッとなりました。問題解決の重要な要素だと思われるからです。

決断は案外簡単にできると思うんです。

エイや、でもOKですから^^;

マネージャーが責任持って決定すれば、誰も何も言いません。
それでも、多くの問題は大過なく過ごすことができるんです(僕がそうでした)。

でも、そのうちの何割かで問題が発生するわけです。仕方がない。100%予見することはできないわけですから。

そのときどう対処するか。そういうリスクを想定していたかが問われるわけです。

つまり、決断を下すには「①情報、②ロジック、③リスクテイク」この3つを推測し、吟味し対策を決めておく必要があるんだと痛感しました。

言われてみればその通りです。でも、これを言葉で説明するってのはやはり考え方の専門家でないと言えない言葉だと思います。

3,組織全体の生産性を上げる方法

マッキンゼーという世界的なコンサルタントファームでどのような人事政策がとられているのか非常に興味があるところです。練りに練られた施策のはずですから。

組織力の向上のために量から質への意識転換を進めるのと同じくらい重要なのが、トップパフォーマーの成長ポテンシャルを最大限に引き出すことです。もちろん本来は、組織に属するすべての人の生産性を引き上げるのが理想です。しかし伸びしろの大きな層にフォーカスすれば、より効率的に組織全体の生産性を高めることができます。88 ページ

トップパフォーマーとは、数年に一人しか現れないような「仕事ができて生産性の高い人」のことを指します。僕は単純に「役員候補」の人物をどう処遇していくか、という風に捉えました。

当然のことですが、仕事ができる人間とそうでない人間を同じ扱いにするのは、組織の生産性の観点から、まずい施策です。

でも、組織ではときに「平等主義」がはびこるものです。AさんとBさんと不公平な扱いにするのはおかしい……。公平でない組織は問題だ。そういう風に思う人が少なからずいます。

問題はトップがこのへんのところをどういう風に皆に説明するか、仕事の評価をどこに置くのかをちゃんと説明しなければいけないのでしょう。

トップパフォーマーが自分の成長スピードが遅いと気づくのは、外部と接したときです。海外留学をして、自分と同い年なのにリーダーシップにも組織運営力にも圧倒的に秀でた人と出会えば、どういう場所でどういう経験を積めば自分もそうなれるのか、自然に考え始めるでしょう。 92ページ

よく聞く話が、数人の起業グループで、社長よりも部下の方が優秀になってしまって、そんな社長がどう部下と接していいかわからなくなる、という話。

相応の処遇をしておかなければ優秀な人材は外部に出ていったり、取られたりする可能性があります。そのためにも、優秀な部下にはやはり特別メニューが必要なのだと思います。

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社内のどの層に重点的に投資するかは、人材育成上の方針によって決められることです。まずはトップパフォーマー、その次がハイパフォーマーという順で投資すべきと考えるのは、ごく自然なことでしょう。

しかし特定の人たちを丸ごと諦め放置してしまうのは、決して得策ではありません。なぜならどんな組織でも選抜に漏れる人の数は、選抜される人より圧倒的に多いからです。 このグループの生産性向上を諦めてしまうと、いくら少数の先発組や若手社員がスキルを磨いて生産性向上に励み、高い意欲で働いても、組織全体としての生産性を上げるのは至難の技です。 119ページ

そして、さらなる問題は、そこそこ優秀な「平凡な人材(特に中年層)」をどう遇するかというところ。放ってしまうのではなく、丁寧に対処して、やる気を起こさせないと組織全体としての生産性は高まらないですよね。

組織全体として生産性をあげるために、恐らくこういう人事政策をどこの企業でも取られているのだと思います。

そんな人事施策と関係のないサラリーマン生活を送っている身としては非常に新鮮に感じました。

最後に

ということで、「生産性」を視点に置いた仕事論としては、非常に参考になる本だと思います。

しかし、内容はけっこう熟度の高い項目が多いですから、
駆けだしのサラリーマンや新人の方にはちょっとハードルが高いと思います。

30歳過ぎてそろそろ管理職を目指そうか、といった方、ベテランの方にオススメしたい本だと思います。もちろんそれにかかわらず「仕事とは何か」を見直そうとされている方にも是非読んでほしいですね。



生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
伊賀 泰代
ダイヤモンド社
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